2022/9/3

【開催レポート】アーバンデザイン・スマートシティスクール第1回レクチャーをおこないました

 2022年8月26日(金) アーバンデザイン・スマートシティスクール松山2022 第1回レクチャーがZoomにて開催されました。またその様子は、アーバンデザイン研究会としてYouTubeにてライブ配信されました。

 今回は、「八戸市美術館」のことをメインテーマに、浅子佳英氏(PRINT&BUILD/UDCMプロジェクトディレクター)、西澤徹夫氏(西澤徹夫建設事務所 主宰)、森純平氏(東京藝術大学 助教/一般社団法人PAIR 代表理事)によるレクチャーがおこなわれました。

 まず、浅子氏による八戸市美術館の展示品の詳細と展覧会の構想・意図についてのお話がありました。八戸市に暮らしている方々が持ち寄った毛布を使用した作品など、個性的で独創的な作品が多く、実際の使用品を活用した作品などが印象に残りました。絵が単に美術館の中にあるだけではなく、展覧会全体を通してみると八戸市の文化、まちと美術・作家・絵画の関わりが見えてくるとのご説明をいただきました。地域デザインの素材の掘り起こしについては、無難な所から興味・関心を抱き、数珠つなぎ的に興味・関心を広げて、本来、美術館との関連性が無いものから視野を広げて繋げていくような視点が重要であるといったお話をいただきました。西澤氏からはスケール感が丁度良く、まとまりがあるために広がっていくようなマインドマップのような情報が必要であるとの意見をいただきました。

 続いて、アーカイブしていくための空間、展示するための空間、活動していくための空間のデザインについて、羽藤英二氏(UDCMセンター長)との討議が行われました。羽藤氏によるアーカイブの価値についての持論の後、ゲスト講師3名それぞれの考えについて伺いました。西澤氏は、蓄積や痕跡がこびりついているなど、空間や場所に活動が残っていくような雰囲気や仕組みを作ることが記憶や記録に結び付くアーカイブになると語られました。森氏は、何を残すのか決断すること、変わらないために変え続けないといけないことがアーカイブの問題としてあると語られました。浅子氏は、現実空間の重要さを紐解き、そこから現実空間をネット空間の討論がされました。その中で西澤氏が述べた「現実世界がネット世界を追従する場所になってきている」という言葉が印象に残りました。

 また、松山の魅力をアーカイブ・発信することに関する議論が行われました。その中で、自分の好きな風景や子どもの頃に習った独自の文化を持ち寄って話すと面白くなるのではないかというお話が出ました。受講生からは、松山のまちのイメージについて伺いたいという質問がありました。西澤氏は綺麗な曲線を描いている路面電車、浅子氏は石手寺が良いとの意見を述べられました。三者三様の意見をかき集め、話し合うことそのものが地域デザインであるという話で盛り上がりました。

 ゲスト講師3名の熱意が伝わり、実りあるレクチャーでした。今後、スクール活動を行っていく中で専門家の意見は非常に参考になります。さまざまな考え方を知ったうえで、自分自身が取り組みたいことを見つけ、実践できるように一緒に準備を進めていきましょう!(TA松尾)

 ➤アーバンデザイン・スマートシティスクール2022 まとめページ